その恋、取扱い注意!
「っていうか、付き合ってた時、ここまだオープンしていなかったし」

「そ、そんなこと聞いていないじゃん!」

頭の中をすっぽり覗かれて戸惑う。
オーダーした前菜や、サーモンのローストなどが運ばれてきた。
ウエイターが去っていくと、湊は口を開く。

「そうか? 聞きたそうな顔してたけどな」

まだ話は終わってなかったんだ。
湊にすっかり見通されて、大きなため息が漏れる。

この際、松下さんがまだ湊を好きだと、言ってしまおうか。

「食べよう」

フォークとナイフを手にして湊は食べ始めた。
私も習ってフォークとナイフを手にしたけど、気になって口まで運べない。

「ねぇ? 湊……」

「ん?」

サーモンのローストのお皿に目を落としていた湊が、私へと動く。


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