その恋、取扱い注意!
「湊! やめて!」

私は湊の腕を引っ張った。
湊の手が高野先輩の胸ぐらから解かれる。

その途端、高野先輩の身体が地面にくずおれた。
咳をしながら荒い息をしている。

湊が本気で絞めていたんだろうと思うほど苦しそうだ。

そんな高野先輩を見ていたら、口を開いていた。

「一瞬の過ちで将来を失ってもいいんですか?」

「……」

「こんなバカなことをするより、動物たちの命を救ってください」

初デートした時、出掛けたのが動物園だった。
そこで高野先輩は自分の飼っていた犬が病気で亡くなったことから、獣医になりたいと話してくれた。

「美海ちゃん……」

「彼女と幸せになってください」

「ミミ、行こう。こういうやつは警察に――」

「もう絶対に会わない!」

湊の言葉を高野先輩が遮った。


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