その恋、取扱い注意!
「てめぇ! なに抱きついているんだよ! ミミはニューハーフじゃねえんだよ!」

湊の声だった。それは高野先輩と対決した時に、聞いたことのある低く怒りを秘めた声。

えっ? 湊?

身体が自由になって見ると、酔っぱらいの男が通路に倒れている。

そのそばに紅緒さんがいて、倒れた拍子に眠ってしまった男を見ている。私の位置から、紅緒さんのブラウンの頭しか見えない。

湊の声は空耳? そう思った時、紅緒さんが顔を上げた。

「ミミ、大丈夫か?」

紅緒さんの口から、湊の声が。

「えええ――っ!? 湊っ!?」

「ああ! そうだよ!」

紅緒さん――姿はまるっきり紅緒さんが、湊?

これは夢? 

事の起こりを把握できずに、ただただ茫然と紅緒さんを見る。男だと知られたせいか、立ち方にいつものような色気はない。

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