その恋、取扱い注意!
湊に誘われて嬉しくないわけがない。
きっとお土産を渡す口実なのだろう。

レモンイエローのワンピースを着て、寒さ対策にカーディガンを手にして下へ降りると母がいた。

「あら、早いじゃない。休みの日に珍しいのね」

洗濯かごを持った母に驚かれる。

「湊と出掛けてくる」

「湊くんと? どういった風の吹き回しかしら?」

湊が大学の途中で一人暮らしを始める前までは、たまに一緒に出掛けていた私たちだけど、最近はない。

母はキョトン顔の後に、うふふと薄気味悪い笑みを浮かべた。
そんな母を見つつ、バッグとカーディガンをソファに置いて洗面台に向かった。


湊は本当に1時間後に来た。
あらかじめ門扉の外に出て湊を待っていた私は、近づいてくるシルバーのBMWが止まるのを見ていた。

車が停車すると、湊が下りるのを待たずに助手席のドアを開けて座る。
座ってすぐに湊の方を向いた。

「湊っ、なんでデートなの?」

「たまにはいいだろ。シートベルト締めろよ」

湊は言ってから、アクセルを踏んだ。

シートベルトを締めた瞬間に車を発進させるから、背中がシートにググッと引き戻される。

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