その恋、取扱い注意!
「デートの相手にいつもそんな乱暴なのっ?」

「そんなわけないだろ」

前を向いたまま答える湊。

ってことは、私だからどうでもいいって感じ?

「どこに行きたい?」

「どこでもいいけど、美味しいお刺身が食べたい」

「ほんと、ミミは食い気だな」

「いいでしょっ! どこ行きたいって聞いたのは湊だし」

「じゃ、デートの定番中の定番、江の島あたりまでドライブしようか?」

江の島って、デートの定番だったの? 
湊はなんども彼女を連れて行ったりしているのかも。

月曜日で首都高速道路は少し混んでいたけれど、それを抜けると車はスムーズに江の島に向かっている。

「先に飯食う?」

海沿いの国道を走っていると、海の幸を売りにしている食堂を目にするようになった。

「うん! 朝食食べてないからお腹空いてるんだ。2人分でも食べれそう」

「恐ろしい食欲だな」

湊が笑って言う。

「湊っ! 本気にしないでよ。ものの例えなんだから」

「お! ミミ、あそこにしよう」

「さしみ」と書かれた大きな看板を見た湊は、車のスピードを緩めた。


< 27 / 437 >

この作品をシェア

pagetop