その恋、取扱い注意！
少しして、スウェットを穿き、上半身ハダカの姿でリビングに現れた湊。

首から下げたタオルで髪をガシガシ拭いている。きれいに筋肉がついた男っぽい姿の湊を見ると、紅緒さんの姿とは重ならないから不思議。

「あ、なんか飲んでいればよかったのに」

湊はキッチンに行き、缶コーラを持って戻ってきた。プルトップを開けて、私に渡してくれる。

「ありがとう」

受け取って一口飲む。
湊も隣に座り、ゴクゴクと喉を鳴らして飲んでいる。

「あっ！　ナポリタン！」

美里ママがナポリタンを作ってくれると言うから、『美人堂』へ行ったのに、食べ損ねてしまった。

「ナポリタン？って、敬一の？」

湊が片方の眉を上げて、私を見る。

「うん。ナポリタンを作ってくれるって言うから、今日行ったの。そう言えば何も食べてないっ！　お腹すいたー」

思い出したら、ものすごくお腹が空いてきた。

「ピザでもとろうか？　俺も腹減った。ノーパソ、持ってくるよ」

ネットで注文するらしい。
ノートパソコンを取りに行く背中を見ていたら、いたずら心が芽生えた。


< 269 / 437 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop