その恋、取扱い注意!
更衣室に入るまで、誰にも会わなかった。ドアを開けると、菊池さんと久我さんがいた。
ふたりは私の姿を見ると、パッと話を止めてばつの悪そうな表情になった。

「おはよ」

「ねえ、安西さん、松下さんの話は本当なの?」

久我さんがロッカーを開ける私に聞いてくる。昨日は聞きづらかったみたい。

「話すと長くなるから、お昼に話すね」

話したいわけじゃなかったけれど、ふたりにはやっぱりわかってもらいたかった。

「うん。わかった。じゃあ、先に行ってるね」

久我さんと菊池さんが、更衣室を出て行った。

彼女たち以上に、他の人たちも好奇心の目で見てくるかもしれない。

「今日一日、がんばろー」

自分に気合を入れ、ハンガーにかかっている制服に手を伸ばした。

着替え終わり、ロッカーのカギを閉めた時、更衣室のドアが開いた。
何気なく見ると、松下さんと仲の良い経理課の女性だった。すでに制服を着ているので、忘れ物かなと思っていると、彼女は私のところへつかつかと近寄ってきた。

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