その恋、取扱い注意!
「そうだと思う。あの時、外で待っていてくれたから」

思い出して頷く。
そしてふたりも知っている紅緒だったというのは、口が裂けても言えない。

「うわっ! 超イケメンじゃない!」

「そんなにイケメンなの?」

菊池さんが聞いている。

「メガネをかけた知的な感じの人よ。身長も高かったわ」

久我さんの記憶力はいいなと、感心してしまう。

「いいな~ そんなイケメンと婚約しているなんて羨ましい。でも、会社に言っていなかったの? いつ結婚するの?」

「結婚式はまだ決まってないの。だからまだ会社に言う必要もないかなって」

「仕事を続けるつもりなら、急いでいう必要はないわよね」

相槌を打った久我さんは、アイスティーのグラスに手を伸ばす。

「でもさ、あの松下さんがこのまま黙っているのかしら」

菊池さんが思案する。

「部署が違うし、関わったとしても、たまにだから大丈夫。プライドが高い人だしね……昨日は飲み過ぎて出ちゃったんだと思う」

「そうよね。これ以上、自分が惨めになるようなことはしないわよね」

話しに夢中になって、目の前のハンバーグが冷めてしまっている。
私たちは急いで食べると、会社に戻った。


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