その恋、取扱い注意!
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太陽が海に沈んでいく。
私たちは砂浜を歩きながら見ていた。
南国の花のような鮮やかな色が、海ににじみ消えかけている。
ゆっくりと太陽は海に消えて、空は満点の星空へと変わった。

「きれいな夕日だったね」

手をつなぎながら、波打ち際に足を進める。

「湊、海のきれいなところへ、旅行したいと思っていたんだ」

「知ってる」

「え?」

「美人堂で話しているのを聞いて知っていた。お前の願いを叶えてやりたかったんだ」

「湊……ありがとう。私すごく幸せ」

「2年後も……それ以降も、ずっと幸せでいてもらいたいな」

「それは……」

「それは?」

湊が腰を軽く曲げ、顔を近づけて聞き返す。

「湊の努力が必要です」

茶目っ気たっぷりに笑うと、おでこをピンと軽くはじかれる。

「お、言ったな。絶対幸せにするからな」

「うん。私も……」

今にも落ちてきそうな星空の下、さざ波の音に包まれ唇が重なった。


END 2013.5.24

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