その恋、取扱い注意!
「乾杯しよう。そうだな。偶然の出会いに」

「乾杯なんて出来ません」

「美海ちゃん、そう言わずに。ね? グラス持って。持たないと隣に行ってグラスを持たせようかな」

ニヤッと口角を上げて、私の反応を楽しむように見ている。
仕方なくグラスを持ち、ほんの少しかかげる。

「美海ちゃんの彼氏ってさ、湊なの?」

「え?」

「だって、おととい電車から一緒に下りてきたでしょ」

おとといもいて見ていたのっ!?

「湊は昔からカッコ良かったけど、おととい見た湊はもっと男前になってたな。モテるんだろうね。美海ちゃん、心配でしょ」

この際、湊に彼氏になってもらおう。

「湊ってイケメンだけど、私だけを見てくれるんです。だから心配なんてしていません」

『あなたなんて、湊に比べたら月とすっぽんぐらいなのよ』と言いたかった。

湊自慢をしていると、ウエイトレスがやってきて頼んだ料理を置いて行く。



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