その恋、取扱い注意!
対面に腰を下ろした私に気を悪くした様子もなく、メニューを目の前に広げる。

「なんでもいいよ。昨日言った通り、本当は頬が蕩けるほど美味しい料理をご馳走したいんだよ」

私は黙ったままメニューに視線を滑らした。

食べ物の写真を見るだけで、胃に不快感が広がる。

どうしよう……頼まないわけには……。

ぱらっとめくると、ナポリタンが目に入った。
美里ママを思い出す。

「ナポリタンで」

「それだけ? サラダは? 飲み物は? グラスワインを頼もうか?」

次から次へと良く言葉が出てくるものだ。

「ナポリタンだけでいいです」

そう言ったのに、高野先輩はグラスワインを2つとナポリタン。
自分にはチキンソテーの食事を頼んだ。

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