あふれるほどの愛を君に
ここ最近は一緒に食事もしてないし、ゆっくり話もしていない。普通の日常でいいから、彼女と過ごしたいって思った。
スーパーで買い物して夕飯を作って、ソファーに並んでテレビを見たり、映画を観て涙する彼女を見つめたり。
特別でもなんでもない会話や、くだらない冗談。たまにちょっと言い合いして、でもすぐに仲直りして。
見た目は大人の女性なのに結構子供っぽかったり、しっかりしてるように見えて時々ドジで泣き虫な。
飾らないそのままの彼女と笑い合い、触れ合って、抱きしめて……。
顔が見たい、声が聞きたい、彼女を感じながら眠りたい――
「やばいっ、俺って相当……」
完全にサクラさん中毒だな……。
地下街の雑踏の中で一人、苦笑が漏れた。
よし。まずは飛行機の時間を変更しよう。
それでサクラさんに電話して、真っ直ぐ彼女のもとに帰ろう。