あふれるほどの愛を君に
疑心
静かな部屋の中に、一筋の光が射し込んでいる。
いつも使っているものより広いベッドの上で寝返りを打ち、光のあるほうへ視線を向けた。
朝になったようだけど時間まではわからない。
少しだけ首をもたげ、僕のものではない暖色系のカーテンを見つめ、それからまたクッションと枕の谷間へ顔を埋めた。
覚えのある甘い香りに胸の中がくすぐったくなる。
「う、ん……サクラさん…?」
掠れた声で名前を呼んでみる。だけど返事はない。
空いている右側を探ってもシーツの上に温もりは残ってなくて、なんだかちょっと寂しくなった。