my existence sense-神が人を愛す時-








四方八方を緑に囲まれ変わり映えのない道なき道を彼等は迷うことなくヒラリヒラリと進む。



.........。
幾ら進んだだろう。

雨で霞む森の先が明るく輝いて見えた。
暫く行った先、ある一線を境に視界がはっきりとする。



木々達がまるでその場所を避けるように周りを取り囲み真ん中にはぽっかりと大きな空間が。

空を見上げれば太陽の光が燦々と降り注ぐ。
そこだけは雨は降っていなかった。


下を見れば地面を覆い尽くすように咲き乱れる青い花。
足の踏み場も無いほどに咲き乱れる。
だが此処に暮らす妖精達は地面を踏み締める事は無いため踏み躙られることはない。
まるで青い絨毯のようなその花畑からはふんわりと甘い香りが込み上げる。

頭上には周りの木々の枝から枝へ蔦のようなものが張り巡らされ、そこには大きな葉や花びらを器用に組み作り上げられた小さな家が幾つも吊り下がる。
当たり前だがその家は到底人の入れるような大きさではなく、この小さな家に住むことが出来るのは恐らくこの世界で彼等妖精という種だけだった。


そう。
此処が彼等の暮らすネモフィラの都。
雨降りやまぬ妖精の森の国。









ヒラヒラ。

森から戻った妖精達は手に大きな荷物を抱えたまま皆同じところへと飛んで行く。


その先には都のその中心に一本堂々と佇む老木。
その老木の幹は此処に暮らす妖精達が皆で手を繋ぎ囲んでも囲い切れないくらいに太く、その枝には老木とはいえまだまだ衰えることなく豊富な葉を湛えていた。

......。

よく見るとその太く立派な幹にぽっかりと大きな穴が空いている。
入り口には大きな松明が掲げられ、真ん中辺りには祭壇が備えられている。
松明の灯りがぼんやりと穴の中を照らすが、その穴はずっと奥まで続いていてそこまではその灯りは届かない。








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