chocolate cafe

 悠くんはももを見つけて
 驚いた顔をしていた。


 ももは驚きのあまり、
 叫び声を出しそうになったが
 それは悠くんに一瞬で遮られた。

 口に手を押し当てられ、
 苦しいのに、そのうえ、
 悠くんが焦っているからなのか
 鼻まで手で覆われてるから
 息が苦しくて苦しくてたまらない。


 20秒経っても、
 悠くんはいっこうに
 手を離そうとしてくれないので
 
 ももは抵抗して離して
 もらおうとしたのだけれど...

 逆効果だった。


 離してともがけばもがく程、
 悠くんの手の抑える力は
 大きくなっていって....

 遂には、呼吸が
 出来なくなってしまって
 涙目になっていたももを見て、
 悠くんはようやく気付いて
 手を離してくれた。

 
 苦しさからやっと解放されたからか
 荒がった吐息が漏れた。


「っはあ..はぁ...はぁ..っは....」

 そんなももの様子を見て、 
 悠くんは謝ってくれた。


「..ももごめん」
 
 そう言って悠くんは本当に
 申し訳なさそうな顔をしていた。

 だけど、さっき口を抑えられて
 いたものだから、
 悠くんとの距離が近過ぎて
 恥ずかし過ぎて、
 どうにかなっちゃいそうだったから
 
 後退りしようとしたら、
 何故か足を滑らせてしまって
 後ろに滑りこけてしまいそうになって
 ギュッと目を瞑った。

 けれど、地面に叩きつけられた
 ような痛い感触は全くなく、
 その代わりに背中に
 温かい手の感触があって
 
 気が付けば、
 悠くんに抱き締められていた。


 きっと、多分。
 ももが滑りこける前に
 悠くんが庇ってくれて
 地面に叩きつけられたような
 痛い感触は全くなかったのだろう。


 恥ずかしさを紛らわせるために
 離れようとした距離は
 より一層近づいてしまって...
 
 恥ずかしさは勢いを増して..

 ももの顔はきっと真っ赤になってる。
 それに、身体の温度が上昇していって
 身体全体が凄く熱い.....

 
 そのうえ、悠くんの吐息が
 ももの耳にかかって......

 ももはもう、
 どうにかなっちゃいそうだ...!




 

 
 
 
 
 


 


 
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