ひとつ、屋根の下で





私と先輩の関係が千依にバレてしまったあの日から、変わったことがふたつある。


まず、ひとつめ。


あれほど楽しかったことが嘘のように。


私の日常は、途端に色を失ってしまったかのように味気ないものになってしまった。


味気ない、なんて言葉じゃ足りないくらい、私の毎日は一変してしまったんだ。


私とは目も合わせてくれなくなった千依。


だけど、先輩に負けず劣らずお人好しの彼女は、その理由を誰かに話したりはしないでくれたようだった。


もし、千依が包み隠さずそれを周りに言いふらしたりなんかしていたら、私はきっとクラスから、いや、学校中から非難されて、冷たい目で見られて、学校に行くことが今よりもっと苦痛だったに違いない。


千依とはあれから……、1か月前から、一言も口をきいていない。


はじめは友達に「喧嘩でもしたの?」と聞かれたけれど、今ではそんなことを誰も口にしないくらいに、私と千依の冷戦状態がクラスの日常に溶け込み始めていた。


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