穢れた愛
第五章 纏わりつく藻
第五章 纏わりつく藻



硝子の破片を
拾い集め
流れ出た水を
拭取る絵里


憎悪と屈辱


拭う雑巾に突き刺さる
小さな破片で指を切り
奥底から湧き上る
苛々が募る


床に座り込み
雑巾を壁に投げつけ


「頭来る」


抑え切れない
感情の言葉を
履き捨てる絵里を


シャワーを浴びた
濡れた手で
背後から抱き寄せる柏崎は


絵里の指先から
流れる血液に
唇を這わせた


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