4文字のあいしてる【完】
しばらくするとバスが来た。乗り込むと暑さが嘘みたいにクーラーが効いている。



「運転士さんに聞いてみるな」





幸い、バスには私たちしかいない。椅子に座る前に二人で運転席に近づいた。




「あの、この辺りにみかん畑ってありますか?」




「みかん畑?たくさんあるけどなあ。とりあえず1番近いとこなら3つ目の停留所のところに大きな畑があるよ」





「ありがとうございます」



そこにトメさんがいるかなんてわからないけどとりあえず行ってみよう。会えたらラッキーくらいの気持ちで。


圭吾と二人、横並びの席に隣り合わせで座った。こんなに席がガラ空きなのになんだかおかしい。


でも、密着していてどちらかが動けば体が触れ合う。こんなに近づいて座ることなんてないからどうしていいか戸惑う。


そんな気持ちを他所にバスは走り始めた。
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