サキヨミ。【BL】


「君が好きだ」

言うと同時に、彼の指先に触れる。

彼の手はびくりと跳ねて、それから俺の手を握り返してくれた。

彼は意識していなかったその行為に、一瞬後に、あ、と零した。



「しょうがないから、信じてやるよ。本当になったしな」

お前の変な話。と、笑うような声に、彼の顔を見る。


穏やかな彼の瞳は、俺の視線とぶつかっても逸らされることは無い。



ああ、これは。

いつかに見た未来だった光景に、俺の胸は高鳴る。

信じてくれた彼は、俺の話した未来を実現させてくれるらしい。



少しずつ彼との距離が近づいて、あと数センチ。
彼の表情はもう、ぼやけてよく解らない。


………………。


そうしてようやく、俺の夢見た光景が現実のものとなった。



出来る事なら、このままずっと彼と触れていたい。

そう願う俺の脳裏に、また新たなビジョンが浮かんできた。


……彼の両親が、この病室に足を踏み入れ、驚く顔が。


残り、5秒。



俺は急いで彼から離れた。

彼は驚いた顔をしている。


そんな彼に、俺は笑って言う。


「見えたんだ」

直後にガラリと病室のドアが開く音がした。



今度は危なげもなく、無事な未来に変えられただろう。

……やっぱりこの能力は、たまに役立つらしい。

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