Secret door...


───…
──…



ということで、


1人として転校することを
クラスの皆に告げず


私はこの町を出た。




それから2時間ぐらいトラックに揺られ


着いた新しい家は
すごく綺麗な…

なんていうかすごく洋風。



「うわーっ!!おっきー!!きれー!!」

ピョンピョン跳ねながら喜ぶ妹の稚紗(ちさ)。


今年小学生に上がったばかりだ。


家の中に入って、
自分で持ってきた荷物から整理し始める。



「稚那ちゃん?あとの荷物は
お母さんがやっておくから、
9月から通う学校見てらっしゃい」



…あたし迷子になりそうなんだけど?


「娘を知らない町に放り出すなんて~」


「今時ケータイがあるから大丈夫よ」


ぴしゃっと言われ仕方なく家を出た。


この薄情者~……


『天河学園』と
ケータイに検索をかけてみる。



「あ!!この道かな?」


しばらく歩いて気付いた事が1つ。


「だんだん道が細くなってきてるんだけど…」


ケータイに書かれている学園は
大通りの先。


どう考えても大通りに出そうな気配ではない。



行き止まりって雰囲気だ…


家が密集しているのと
塀が高いせいか晴れているのに暗い。




「やっぱ行き止まりじゃん…」





待って…………人?



行き止まりの方を向いているから
分からなかったけど人だ。


しゃがんでる男の人がいる。



こんなところに1人で何してんだろう。





「じろじろ見てんじゃねーよ。」


唸るような低い声。


なんで?

なんで見てるって分かったの?



その男の人は立ち上がりこっちに振り返った。


顔は俗に言うイケメン。

髪の毛は真っ黒でサラサラ。

スラーッと長身で制服か何かを着ている。




「あ…」



でも、その人の足元に広がっている光景に
目を見開いた。



猫が3匹、少し残虐な死に方で
横たわっていたから。


手には…猫の血であろうものが
付着している。



この人が殺したんだ…って
瞬時にそう思った。



「ひどい…」


我慢できなかった。
例え知らない人でも。


「ひどいよ!!猫だって
小さいけど大切な命なのに!!」



その人は何も言わない。

それどころか真っ直ぐ、私を見つめてくる。



…光の宿っていない目で。



しばらくすると、そいつは
フッと鼻で笑い


「天河学園を探してんのか?」

そう聞いてきた。


ようやく口を開いたと思ったら、
私の言葉はまるで無視。


なんなんだこいつ。



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