トビラの向こう側
彼は意地の悪い笑みを浮かべて私を見てる。


「な、確かに容姿には全然自信ないけど何で会ったばかりの人にそこまで言われなくちゃいけないの」
私はテーブルに手をつき立ち上がった。

「高遠さんって失礼な人ですね」


幸いお客さんも来ないし、頭を冷やそうとトレイに向かっているつもりが…
後を追って来た高遠さんに腕をつかまれ壁に押しつけられた。


「会ったばかりの人に、か」


ここは薄暗く彼の表情はよくわからないけど怒っているように感じた。


失礼な事を言われて怒っているのは私なんだけど…それに何か変、頭が痛い…。

掴まれていない方の手で頭をおさえる。

「具合が悪かったのか」


裏口から物音がした。


掴まれていた腕が自由になった。

< 12 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop