トビラの向こう側
裏口のドアが開いて高遠さんが出て来た。


「高遠さん」


高遠さんは突然、声をかけられて驚いた顔をした。

それも一瞬でわたしだと確認できた途端…あの冷たい表情に変わった。


「何か用?忙しいんだけど」


「私、何か気にさわる事しましたか?」
「……」

睨まれた…それに無言だし。

うっ…予想はしていたけど…素っ気ない態度。


さっきまで意気込んでいたけど、駄目だ次の言葉がでなくなってしまった。


「言いたい事はそれだけ?
本当に、お前ってムカつく女だな」


「だから何でそこまで怒っているのか私、全然思い当たらないんです。
何でですか?」


「ハァー…
昨日お前どこで誰と何してた?」


きのう?
私が何してたか…?
智也さんとの事は秘密にしてって言われているし本当の事は言えないよ。


「……」


「言えないのか?」

言えないよ。


「昨日あいつと一緒にいたよな…見たんだよ。
二人でカラオケ店から出てきて車に乗ったところを」


見たんだ。

「昨日の昼間の担当は本当は俺じゃなかったんだけどあいつは休みをとった。
それで二人はデートしてたんだ?」


違うよ…そんなんじゃない。


そう言いたいのに…。


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