鬼と天使と少年と、

半ば諦めたように、くしゃりと顔を歪ます俺。もう、動く気力すらないというのに。



「信じられるモノがないって、結構つらいんだな。……もう、いいや。俺のダーイスキな睡眠でもするよ。

……おやすみ」


[ギアあがガギュぐぶがアあアアッ!!]



煩い鳴き声を子守唄に、俺はそっと目を閉じた……


ああ、きっとこれは夢なんだ。

だから、こっち(夢)の俺が眠れば、また全てが終わるはず。


いっそ、殺されてしまおう。



『佐雄、死ぬでないぞぃ』



爺ちゃんの不器用な優しさがつまった、なんとも物騒な愛ある言葉。


ああ、やめてくれよ。

これじゃあ走馬灯みたいじゃないか。



つう、と。

一筋の涙が俺の頬をつたった。




そのとき、



「おい、コイツは俺の玩具だ。勝手に味見してんじゃねーよ」


「孫をイジめていいのは、このわしだけだぇ?だあーれの許可を貰っとんじゃい、この三流風情が」


「え、」



白鳥の断末魔が響き、消えた。
それは一瞬のことで。


目の前に立つ人物を、俺はただただ呆けて見つめることしかできなかった。

だって、そこにいたのは



「爺ちゃ……って、十六夜さんも?!」



佐雄(俺)イジり要員、兼、互いにライバルであるはずの二人だったのだから。

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