鬼と天使と少年と、
「まったく……。佐雄、私達は先に解放してますからね」


「あ~い」



相変わらず草葉クッションに身を沈める俺に雨乱は溜め息。

倭草に至っては既に魔力解放の準備をしている。なんかそれはそれで酷いぞ。


まぁいいや。

そう思って俺はごろんとうつ向き態勢に変えて二人の様子を見守る。

ああ、二人の魔力解放は久しぶりに見るなぁ。楽しみ楽しみ。


期待の眼差しで見つめる俺に応(こた)えるかのように、二人は呪文を呟いて魔力を解放した。



「「сςδλσ(解放)」」



ーゴウッ

二人の周りを風がぐるぐる周り、雨乱は優しい黄色。倭草は紅の光によって姿が包まれて見えなくなる。


ちなみにこれは普段自分の姿を隠してる人が本来の姿に戻るとき起こるもの。

つまり光と風がおさまったらソコには本来の姿をした雨乱とか倭草がいるってこと。


ああ、そういや雨乱と倭草の普段の姿は人間そのもの。

だから羽も輪っかも、角も牙も。
普段のアイツらには付いてないんだ。


隠してようが隠してまいが、俺には関係ないことだけどさ。


まあ、アレじゃね?

顔だけじゃなく姿もコンプレックスなんだろうな、あの二人にとって。

見かけで判断されたくない的なこともこの前言ってたしぃ~?


まあ俺としては中身が面白くてつるんでるワケですが。

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