鬼と天使と少年と、



「…………。」


「おや、【十六夜】(いざよい)。起きたんですか」


「………面白い奴、発見した」


「へぇ、またイイ玩具を見つけたんですか。今回はハズレじゃありませんよね?」


「さあな。……ちょっと行ってくる」


「はいはい」



そうして赤いソファーから体を起こし、立ち上がる男。


黒髪に紫眼のこの男の名は
【十六夜】(いざよい)。


先程まで寝ていたためか、あちこち髪の毛がはねている。


そんなこと気にもせず、十六夜は頭をガシガシかきながら欠伸をした。



「今回は味見程度で済ませてくださいね。前回みたいにまた、壊されると困るのは僕なんですから」


「分かってるって」



ほんとに分かっているのだろうか、
この男は。


そう心配そうに溜め息をつく男に、十六夜はどこふく風。


そのまま十六夜は扉の取っ手を引いて部屋から出ていってしまった。


向かう先には勿論、



「玩具を壊したって、俺の自由だろ」



新しい玩具のもとへ

さあ 行こう

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