家庭*恋*師
段ボールの中身を全て片付け、引っ越し作業も終わり、暇だったので始めた次の授業の予習まで済ませた時間になっても、皓太朗の姿はない。

時計に目をやると、もう門限を過ぎる時間だ。といっても。通常の寮のように寮母も事務員もいないここではそう重要でもないのだが。

授業には出ない、部屋にも帰って来ないとは…スパルタでいかないとダメだな。そんなことを考えていると、彼をトップで卒業させると大見得を切った今朝のあの約束がまた心配になる。それを振り払うように、勢いよく机から立ち上がる。

もう遅いし、そろそろシャワーでもとって寝るかな…

ルームメイトと対面する前に床に就くのは少し気が引けたが、下手をすれば朝帰りかもしれない相手を待つのもバカバカしく感じ、部屋に備え付けられているシャワールームに向かった。

幸い、脱衣所の扉には鍵がかかっているので、皓太朗が帰ってきても、少年漫画でお約束のお風呂でバッタリは免れそうだ。

後ろ手で鍵を回し、部屋着であるスエットを床に落とした。
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