小さな主人と二人の従者
「それくらい俺にも夢中になってくれたらいいのに・・・・・・」

　ギャレットが重要視するところはそこだった。

「忘れるところだった。ジュリア様に渡すものがあるんだ」

　ケネスが何かを思い出して、立ち上がって部屋を出て行き、一分もしない内に戻ってきた。

「何？」
「これ、台所に置いたままだった」

　ケネスから本を受け取った。昨日、眠る前に台所で読んでいた本は村に住む女の子のことを好きになる騎士の恋愛物語。
　ジュリアは台所に本を置いていたことすら忘れていた。

「うっかりしていた。ありがとう」
「それともう一つある」

　もう忘れていたものは何もないことを口にしようとしたとき、ケネスは自分の前髪を触った。

「前髪を今日中に切ってしまわないとな」
「あ！そうだった！」

　ジュリアは完全に忘れていた。口を開けたままでいるジュリアを見て、ケネスは双眸を細めた。

「だったら、俺は一時間くらい買い物へ行くことにするよ」

　買い物は昨日頼んでいたのに、ギャレットが行かなかったので、行く日が今日になった。
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