小さな主人と二人の従者

「可愛い！」

　店の中へ入ってジュリアが発した第一声。
　目の前には手乗りのぬいぐるみがたくさん置いてある。動物がたくさんいて、全部買いたいくらいだった。
　ずっとぬいぐるみ達を見つめていては日が暮れる。その場から離れようとしても、ジュリアの視線はぬいぐるみに注がれている。そんなジュリアを見て、ギャレットはそっと口を開いた。

「どうしたら俺のことをぬいぐるみのように夢中になって見てくれるのかな？」

　だけど、その声はジュリアに届かなかった。

「ん？ギャレット、何か言った？」
「いや・・・・・・」

　ギャレットは笑顔で首を振って、ジュリアと商品を見ようとした。

「そう？あ！見て！」

　ジュリアが手に取ったのは茶色の表紙にフォークとナイフの絵があるレシピノート。これは料理の材料や作り方などを綴るノートで、クッキング用語や写真つきのレシピ、フードショップリストがついている。

「ジュリア嬢、中のレシピを見るだけで終わりそう」
「失礼な、ちゃんと使うもの」