小さな主人と二人の従者

登校

　休日が終わって学校が始まった。今日の授業を受けて、放課後にケネスとギャレットに校内の案内をしてもらっている。
　談話室へ入ると、よく知っている優しげな表情をした女性が生徒達と話をしていた。

「ジュリア、お久しぶりね」
「お久しぶりです、セリーナ先生！」

　セリーナ先生の髪と瞳の色は濃紺。ジュリアの両親と昔から仲良しで、ジュリアの保護者的存在。一番話しやすい先生なので、常に生徒が近くにいることが多い。

「えぇ、そうよ。三人でいるところを見たのは初めてね」
「休みの間に仲良くなったんです」
「それはいいわね。久しぶりにジュリアの笑顔を見ることができて嬉しい。また勉強を頑張りましょうね」
「はい、失礼します」

　久々に会うことができたのに、あまり話すことができなかった。
　談話室を出てから廊下を歩いていると、ギャレットがジュリアを見た。

「セリーナ先生のこともわかっていた？」
「うん。先生の家が近いこともあって、小さい頃からお世話になっていたの」
「なるほどね」
「ジュリア様、ひょっとして記憶喪失であることを先生に話そうとしていたのか？」
「うん、やっぱり生徒だったことを忘れていると、後で何かと困ることが出てくると思うから。だけど・・・・・・」