小さな主人と二人の従者
「これから別の菓子を作るから。ね?」
「しょうがないな」

 渋々ぬいぐるみを自由にすると、飾りつけをするために奥へ行ってしまった。そのことに落ち込んでいると、ギャレットがジュリアの肩を叩きながら言った。

「ジュリアちゃん、恋人との別れじゃないんだから」
「だって・・・・・・」
「かなり落ち込んでいるな」
「よしよし」

 はっとしてすぐにギャレットを見ると、何でもないように紅茶を飲んでいた。
 どうして呼び方を変えたのか、ジュリアの中で次から次へと疑問が出てくる。ぬいぐるみを見ると、笑っているように見え、ジュリアはぬいぐるみに夢中だった。

「かなり気に入っていたな。ぬいぐるみのこと」
「あの子達が羨ましい」
「どうしてだ?」
「だってぬいぐるみだったら、いくら好きなものを食べても太る心配しなくていいもの」

 病気だって心配しなくていいことを続ける前に三人は一斉に笑い声を上げた。

「そんなことを考えていたのか」
「ジュリアちゃんらしいかもね」
「ジュリアは面白いね」

 そこまで笑うことだろうか。
 恐らくそう考えるのは他の女の子達も同じだと、心の中で呟いた。
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