小さな主人と二人の従者

訓練

　朝の光が眩しくて布団に手を伸ばそうとすると、柔らかい髪に触れた。身体に重みを感じながら目を開けると、ギャレットがジュリアの胸に顔を埋めて眠っているので、思わず叫んでしまいそうになった。
　ケネスの寝顔はよく見るのに、ギャレットの寝顔を見ることは少なかった。早起きが苦手なジュリアはギャレットに起こされることが多く、そのたびに悪戯をされて笑ってばかりいる彼をケネスは止めるばかりだった。とにかく起きようと思っても、顔も足も動かすことができず、挙句の果てには拘束が強まって、手も動かせなくなってしまった。本当はすでに起きているのかもしれないと考え、彼の名前を呼んだ。

「ギャレット」

　しかし返事はない。狸寝入りをしているのかと思って頬を軽くつねるべきか、自分も大人しく目を閉じるべきか悩んでいると、部屋の扉が乱暴に開けられた。

「ギャレット！いい加減起きろよ！」

　ケネスの怒鳴り声にジュリアは驚いて跳ねて、ギャレットは気だるそうに目を擦りながら起きた。

「ケネス、おはよう」
「おはよう。ジュリア様」