ツラの皮



麻生の顔がいつになく憂いを帯びた。




「役者の話。この間のパーティーでたまたま居合わせた人とは軽く挨拶交わしたんだけど、この間高遠、居なかったからさ―――」




小さく扉を開ける音が言葉を遮った。


何気にそちらに視線を移し、心臓がドクリと跳ね上がった。


頭が真っ白になり世界が遠退く。







ナンデ

イマサラ









「彼女、今度の主演なんだって。」





少し心配げな麻生の声も実感なく耳をすり抜けていく。



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