ツラの皮
「そりゃそーよね。自分がその顔でその性格ですもの。外見に不信感持って当然だわ。」
どうせダダ漏れなんだし、と開き直った私は呼気も荒く「は!」と吐き捨てた。
形のよい唇が意地悪く持ち上がる。
「オマエは見てくれぐらいもう少し何とかした方がいいんじゃねぇか。その性格で外面もイマイチじゃ掬いようがねぇぞ。」
な、なんだとう~……!
私は怒りで顔を真っ赤にしてブルブルと震えた。
「今の私は対根性悪男用限定なのよっ!好きな男の前ではそりゃもうキュートで可憐な乙女に変貌するんだから!男が守ってやりたい構ってやりたいって無条件で思うくらいのねっ!」
「ふうん。例えば麻生とかの前でか。」
「そうよ!例えば麻生さんの前で……………え?」
動揺した手が支えていたワイングラスを弾き、グラスがグラリと傾く。
高遠が見越していたように掴み、転倒は免れたけど。