ツラの皮



「これがあの鈴ちゃんかい?……ああ、昔一度会わせてもらったことがあるんだけどね、覚えてないかい?」


「へ、え?」


「無理無理。だって、アレってコイツが幼稚園児の頃でっしょ。」


「そ、そうか……。特撮ヒーローが好きだと言うから、年甲斐もなくヒーローの真似事をしたお陰で次の日から暫く寝返りもままならない筋肉痛に苛まれて、私には思い出深い出会いだったもんだから・・・」


「っ……その節は申し訳ございません!」



有名監督に何させてんだ。悔い改めろ、過去の私!と書いた顔を鈴は勢いよく下げる。





「ま、そんなわけで、雑務要員が不足してるって言うから二日ばかりだけどコイツを扱き使ってやってクダサイナ。」


「はぁっ!?そんなの聞いてないし!」


「言ってねーもんよぉ。言ったらオマエこねぇーだろが。」



悪びれない返事にゲドーッ!とにべもない面罵炸裂。



その言い分には同感だが、相手はタチバナだ、諦めろ。



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