ツラの皮




乾いた笑みを貼り付けている私を、濁った胡乱げな双眸で捉えた男は「うお!」と妙な奇声を発して仰け反った。




「おービビッた。仮装とはサプライズじゃねぇか。」


「し、失礼ね!これのどこが仮装なのよ!?コンパだったって言ったでしょ!?」


「ほー。コンパなぁ。オマエが男釣ってくるなんざ天変地異の前触れ……」




ニヤニヤ笑って視線を高遠に移した男が眉を跳ね上げる。





「あ゛あ゛?何でオマエが来てんだ、シミズ?」



「……それはコッチの台詞ですね。何でここで現れるんでしょうか?タチバナさん」






怪訝に問質しあう二人を交互に見詰め、私は「ああ」と納得の声を上げた。






「そっか。穂積クン、カメラマンだもんね。仕事で会ったことくらいあるか。」







穂積クンはカメラマンで、以前は報道系の危険地域派遣だったらしいが最近はもっぱらアイドルを撮るスタジオ勤務。



高遠はメイクアップアーティストなので仕事で面識はあるのも頷ける。



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