ツラの皮





不貞腐れつつ十分ほどの電車の旅。


今度こそ居眠りしないで最寄の駅に到着する。





もう一駅先の高遠を置いて立ち上がった私は、電車が止まりきらない前に「はい」と金を押し付けた。


せしめた金の半分。





高遠が怪訝な視線を持ち上げる。






「諸々、助けてくれたお礼と口止め料。アンタのお陰で勝てたしね。」




勝敗は面子に結構影響される。


私が弱いと思ってか高遠が要所で庇ってくれたのでベタ勝ち出来たのだ。


うん、まあ、庇ってもらわなくてもそれなりに勝てたと思うけど。





べらぼうに高額なわけじゃないけれどこれぞギャンブラーの嗜みってヤツ?



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