ツラの皮
「ま、そー言ったわけなら前祝するぞ。ハヨ座れ。」
「や、まだ正式に決まったわけじゃ……」
「そもそも告られる自体が祝うに然るべき珍事だ。」
それお母さんに言ったら殺されるから。
腕を引っ張られて穂積クンの隣に腰を下ろすのと同時に、私にとってとんでもない事実が耳に飛び込んできた。
「アソーに手垢つけられちゃ堪んねぇから、我が愛娘のガードを頼むぞ、シミズ。」
は?
そこで反対隣に顔を向け、飛び上がって驚いた。
いつの間にか、隣には顔だけ性悪男の高遠、その向こうに麗しい微笑を湛えた麻生さんがいた。
いつの間にかってか、ひょっとして最初からいた!?