ツラの皮
相変わらずスカシタ顔をしている高遠の向こうから麻生さんにヒラヒラ手を振られ、頬が一気に燃えた。
ヤダ嘘。
私、仕事帰りの色気もへったくれもないスーツなのに。
それどころか、さっき顔ゴシゴシって……
化粧剥げてる、絶対。
「実はファッションショーのアゲがあってよ、営業かったるいって意見が一致したもんで、バックレてここで飲みなおすことになったんだわ。」
そういう事は前もって言って欲しい。
「鈴ちゃんお酒強いんだって?今日は言い飲みっぷりを期待してるよ。」
「は、はいっ!」
心得たようにビール瓶を差し出されて、さり気無く用意されたグラスで慌てて受ける。
喉に流し込んだ麦酒は緊張の所為で苦いんだか美味いんだか。
とりあえず礼儀かと一気に飲み干すと、わざとらしいヤンヤが上がった。