ツラの皮

路上に佇む私に気付いて先を歩いていた高遠が「おい」と呼びかける。





「……帰りたくない……」


「…………。」



「だって、聡クンまだ家にいるかも………。」




理屈で無理矢理気持ちの整理をしてみたところで全然感情が追いつかないの。



否、追いついてないのは彼等の子である部分。




落ち着いたら割り切れるのだろうけど、今夜は無理。



っていうか無理にして。



二人の子供として今夜くらいは落ち込んだっていいよね?








ったく、と小さな舌打ちが落ちてきて、腕を強い力で引かれた。


子供に対するような扱いを、今日に限っては安心した。








私は迷子の子供になったような気持ちで、傍若無人に自分を引っ張る力についていった。






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