ツラの皮




意識的に高遠を視界から追い出し、私は改めて頭を抱えた。



あ~こんなことならこの間のお金、堅実に貯金しておけばよかった。



どうせアブク銭だし~、ボーナスだし~、自分にご褒美♪と調子にのってぱーっと使い込んでしまった。





はぁ~またバイトの日々だぁ……。





アナウンスが流れて電車が緩く減速する。


精も根も尽き果てた私はノロリと立ち上がった。







「払えねぇんなら―――」






何よと身構える私に高遠から意外な申し出。






「週末の土曜日空けとけ。」






は?


土曜日?




土曜日の出勤は隔週で、今度はお休みだけど。



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