蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


――課長だから。
知美の策に便乗して、部屋に上がったんだ。

これ以上課長への気持ちを大きくしたくないから、関わりたくない。
そう思うのに、顔が見たいとか、話したいとか、そんな気持ちも確かに私の中にはあって。

矛盾する思いが、激しく波打つ心電図みたいに、揺れ動いてひしめき合ってる。
でも……やっぱり帰るべきだった。

課長の胸に飛び込んでいく勇気も、四年前の事を含めて、気持ち全部をさらけ出す度胸もないくせに、中途半端に近づいても何もならないのに。
少しだけでも一緒にいたいだなんて、なんで思っちゃったんだろう。

「わ、私っ、帰りま――」

トン、って肩を押されて、そのまま仰向けに倒れた。
不思議と衝撃は少なくて、押し倒された事自体に気づくのも遅れるくらいだった。

それが、課長が片手で抱きかかえるようにして倒れたからだって分かったのと同時に、現状に気づいてハっとした。



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