蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


「なんでそんな顔するんですか……?
私を避けてたのは……課長じゃないですか」

伏せられていた瞳がゆっくりと私をとらえる。
そして、無表情だった顔が驚きに変わった。

私が泣いている事に気づいたから。

「優しくしてきたり、急に冷たくしたり……。
傷ついたのは私です……っ!」
「吉野、それは……」
「課長にはいい人がもういるのに、優しくされて浮かれたりして……。
本当にバカみたい……」
「吉野、頼むから俺の話を……」

そう言いかけた課長を、聞きたくない!と震える声で拒絶した。
もう、優しくされて期待するのが嫌だった。

きっと次冷たくされたらもう耐えられないから。

「私に冷たくしたいなら、もうそれでいいです。
だからもう優しくしないでください。
課長にとっては何でもない事でも……私は期待しちゃうから」

課長の顔が、涙のせいでゆらゆら揺れる。
こぼれる涙を手で拭ってから、逃げ込むようにお店の中に入った。



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