蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


『おー、藤堂か。手伝ってくれてんのか?』

タバコを咥えたまま本棚の影から顔を出したのは、三上先生。
30代前半で若手だからって理由で図書館の本の整理を任せられたとか。

ずぼらでいい加減だとかって噂を耳にした事はあるけど、本の整理を頼まれて断れないところを見るとお人よしなのかなと思う。

『これ女の子にやらせてるのは可哀想ですよ。
結構重いし』
『そうは思うんだけどなぁ。
図書館の利用者がほとんどいない状態だし、声かけても手伝ってくれないんだ。
だから、吉野とふたりで毎日少しずつやってるんだけど』

“吉野”って名前を聞いた先輩が私を振り向くから、バって俯いて目を逸らす。

『わ、私、図書館戻って本取ってきますっ』

くるって背中を向けて足早に書庫を出ようとすると、『おう、頼むなー』って三上先生の声が聞こえた。
それにコクコクと頷いて、書庫から出て図書館に向かう。


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