蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


正座状態でガバって頭を下げると、左側でシュシュでひとつに束ねていた髪がサラサラ肩から落ちていく。
そのままでいると、藤堂先輩の手が伸びてきて私の髪をそっと掴んだ。

『髪、床について汚れちゃうよ』
『あ……、すみません』
『顔が真っ赤』
『……すみません』
『謝んなくていいって』

クスっと笑った藤堂先輩は、私が集めた本を持つと『よっ』って立ち上がる。
そして、『どこ運ぶんだっけ』と聞いた。

『あ、私が運びますから……っ!
大学中の人気者の藤堂先輩に手伝ってもらうなんてできません!』
『人気者って……、買いかぶりすぎだろ。まぁ、いいや。
ぶつかっちゃったお詫びに運ばせてよ。それにこれ、結構重いし。
どこに運ぶの?』
『あ……、第二書庫です。
三上先生がそこで整理してるので……』
『りょーかい』

爽やかな笑顔を向けられて、しかもそれをうっかりまともに見ちゃったせいで、何も言えなくなった。


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