蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
「優花が小さい虫でも苦手なのは大学の図書室の片付けでよく知ってる。
蜘蛛でさえ自分でどうにもできなくて困ってるの何度も見たし」
そういえばそうだ。
あの図書室は、古いだけあって本棚から本を抜くと結構な割合で蜘蛛の巣があった。
ほとんどが主のいない巣だったけど、たまに現在進行形で使用中の巣があって。
だけどそんな事で助けを呼ぶのも悪い気がして、黙って困っていると必ず課長が「どうした?」って声をかけてきてくれた。
そして、蜘蛛を見つけると、「またか」って笑いながら駆除してくれて……。
「困った事があったらなんでも言えよ」って微笑んだ。
すっかり忘れていたけど、課長はそんな事を覚えてくれてたんだ。
「だから、虫を好きになれるように頑張るなんて言い出すとは思わなかった」
なんだか自分の気持ちの度合いを計られた気がして恥ずかしくなる。
最も、課長には私の気持ちはバレてるし、それがどの程度なのかも分かっていただろうけど。