蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


おだやかな口調でにこやかに話し続ける知美が怖い。
なんでこんなに可愛らしい外見なのに悪知恵が働くんだろう。

「悠兄と優花が本当は想い合ってるのが分かってからはもうじれったくて堪らなかったんだから。
でもこじれてるみたいだし、私が間に入るのは違うと思って。
だから今考えると、悠兄が休んだ日に松浦が風邪引いてくれたのはものすごいファインプレーだったのよね」
「……ああ、知美が私の荷物を奪って課長の家に置いてきぼりにした時の事ね」
「ふふ。次の日の朝、電話で、無理やりやっちゃえばよかったのにって言ったらそんな趣味ないって怒られちゃったわ」

そういえば、確かにそんな会話をしてたのを夢うつつで覚えてる。
知美となんでそんな親密に話すんだろうって思ってたけど、従兄妹だからだったんだ。

課長と知美の距離感には少し疑問に思ってたところもあったから、理由が分かってすっきりする。

無理やりとか、それはもう聞き流す事にした。
あまり掘り返して聞いたりしたら、知美がますます怖くなりそうだから。

下手したら友情にまでヒビが入りそうだ。




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