蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


こんな私でも大切にしてくれて必要としてくれる悠介に、思いきり抱き締めて欲しかった。

そんな期待と緊張を感じながらついた悠介のアパート。
2階の一番奥の部屋。
きっと笑顔で向かい入れてくれるハズの悠介の部屋には、先客があるみたいだった。

通路の先にいるのは、長い髪の女の人。
開いた状態のドアが目隠しになって先輩の姿は見えなかったけど、深刻そうな雰囲気なのは分かった。

女の人が泣いてたから。

立ちいる事の許されないような空気を感じて、ただ黙って見ていた。
どういう関係なんだろう、とか、そんな疑問が頭の中を埋め尽くす。

泣きながら女の人が訪ねてくるなんて事が普通じゃないのは、付き合った経験のない私にも分かったから。

けど、悠介が何かをして女の人を泣かせたなんて事は考えられなかったから、本当にただ純粋にどうしたんだろうな、なんて考えてた時。
女の人が、口を開いた。





< 54 / 225 >

この作品をシェア

pagetop