蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


会議室の片付けってなると、いつもはそこら中にタバコがギュウギュウに入った灰皿があったりするけど……。

出店希望店舗の方は喫煙を遠慮したみたいだった。
部長が座っていた席以外に置かれた灰皿は、きれいなままだったから。

とりあえず、テーブルの上のモノをまとめていた時、とっくに課に戻ったと思っていた課長から声をかけられた。

「昼メシの時、もしかして俺邪魔した?」

驚いて振り返ると、後ろのドア近くの壁に寄り掛かる課長と目が合う。
突然目が合ってしまって戸惑ったけれど、それよりも課長が自分を邪魔だなんて言った事が気になっていたから、そのまま課長を見つめたまま聞き返した。

「いえ、そんな事はないですけど……。なんでですか?」
「んー、俺、年は近くても一応上司になるわけだし、そんなヤツの顔見ながらメシ食べたりすんのはイヤだろ」
「……でも、課長と話したがってる人たくさんいますよ。
特に女性社員は仕事上がりの課長を誰が誘うかで毎日トイレでもめてるくらいですけど」
「随分買いかぶられてんな」




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