たとえ愛なんてなかったとしても
先に目を覚ました俺は、腕の中で眠るキャシーの寝顔が可愛くて、思わずキスをしたら。

あいつは目を覚まして。


今までで一番下手だった、と暴言を吐いてから、さっさと服を着て出ていった。


何が下手か、なんて考えなくても分かる。


即座に意味を理解した俺は、一時間ほど放心状態になってしまった。


少しでもキャシーを可愛いと、愛しいと思った俺が間違いだった!


確かに下手だった、というか経験が少ないからぎこちなかったかもしれないけど。


......見栄を張るのをやめれば、昨日がハジメテだった。


付き合ったことがないわけじゃないけど、自分から女にアピールしたり、そういった雰囲気に持っていけないんだ。


昨日だって、断片的に覚えている記憶では、キャシーにリードしてもらったような気がする。


良く言えば、今流行りの草食男子。
悪く言えば、情けない男。


下手だったのは、それは......申し訳ないけど。
そこは、申し訳なかったけど!!
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