たとえ愛なんてなかったとしても
ご飯を食べるタイミングをなんとなく失って、ひたすらワインを飲んでいると、炎彬さんがキムチの盛り合わせとチャーハンを持ってきてくれた。



「......ありがとうございます」


「あまり食べてないみたいだったから」



一言だけ話すと、炎彬さんは元いた位置に戻っていく。


プライベートではほとんど話したことないけど、そういえば以前も作りすぎたからと宿舎に料理のお裾分けを持ってきてくれたことがあった。


いい人かもしれない。
というか、お腹が減っている時は食べ物くれる人は、みんないい人にみえる。


ありがたくそれを食べていると、今度は俊輔さんがきた。



「ここ、いい?
何も話しかけないから」


「どうぞ」



私の返事を聞くと、俊輔さんは隣ではなく、みんなの姿が見えない位置、私の正面に座った。


邪魔しないならいいと了承したけれど、だったらどうしてここにきたのかよく分からなかったけど。
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